現代佛師による図像抄 Wii LOVE BUDDHIST IMAGE

Yd_mahoraga.jpg

 ク ラ ス : 薬師如来十二神将
 真   言 : オン マコラ ソワカ
 種   子 : hrīḥ
 三昧耶形: 金剛弩
 御 利 益 :薬師如来を信奉する衆生を障碍より見守る程度のご利益

 仏界は東方に在する薬師瑠璃光浄土の東方に住す。
 薬師三尊を信奉し、薬師経を唱うる衆生を守護する薬師十二神将のうちの一神。

 善化の際に大威徳明王と契約を結び、明王にとっては人間の召喚修法なしで顕現するための依り代となり、また摩睺羅大将にとっては明王より恒久的な護法力供給を受ける相互依存の関係にある。契約を結んだ大威徳明王とは逆に、全体的に優し気で柔らかな印象を持つ神である。

 摩睺羅衆の肌の色は珊底羅衆と並んで種類が多く、褐、灰、玄(くろ)、白、茶、赤銅、駁(ぶち)などで、逆に髪の色に族衆ごとの差は少なく、淡褐色や白の場合がほとんどである。
 右臂にて金剛弩を垂下す。

 他の十二神将と比しての特徴としては、大型の耳介を持つことが挙げられる。しかしながら、世代が交代するにつれ耳介の縮小化が起こり、発達していない者は本来この族衆が持つ耳介機能を補うため、補聴冠を用いるようになった(ここで描かれる摩睺羅大将も補聴冠を身に着けている)。本来の耳介、また補聴冠ともに、270度の外側範囲で稼働させることができるため、ほぼ全方位について瞬時に多岐の外界音による情報を集積することが可能である。この点につき、本来の耳介については同時に集積される情報の解析が個体の能力や経験に拠るところが大きかったが、補聴冠においては情報の自動解析により、マルチチャンネル化した信号処理機能が格段に上がっている。その機能は大きく分けると、「ノイズリダクション(選択的音響低減)」、「オートアジャストメント(環境音自動調整)」、「オートフィッティング(経験的音響選択)」、「アンチハウリング(対音響兵器防御)」の4種である。現在ではさらに骨伝導によるものが普及し、また直接的にニューラルネットワーク(神経回路網)に接続するものも開発され始めている。

 視力はあまり良くないが、夜間や薄明薄暮時の活動に適した機能を持つ。門歯が発達しており、一生伸び続けるため、常に手入れしておく必要がある。女尊の摩睺羅衆の間ではネイル同様、インサイザーアート※1 が流行している。跳躍走能力に富み、一刻のうちに1140由旬(時速800kmくらい)を走ることができる。

 ストレスには非常に弱く、猜疑心が強いため、他の神将とはあまり馴染めていない。特に迷企羅衆を避けている節がある。しかしながら帝釈天や大黒天からは非常に愛されており、帝釈天と伝説の玉兎王プロラグスの月影神話※2、大黒天とイナバ(稻羽)の友情神話※3 は有名である。

 内在能力として、月を媒介とした引力を行使する能力を有する。※4
 プライドが高く、気性も激しいため、衆生には慈愛深く、仏敵には容赦のない、信賞必罰を信条とする。

 摩睺羅衆の平均寿命は500年から1100年と他の族衆に比べて短いが、「青髭公」ネザーランドドワーフのように1300年を生きたものもいる。

 歴代の摩睺羅大将の中では初代摩睺羅大将と考えられている「伝説の(絶滅の)玉兎王」プロラグス※5、大黒天と戦場を共にした「白兎(はくと)の」イナバ(稻羽)が最も知られている。また、摩睺羅四女将として、「萌春の」オスタラ、「軍神」アスタルテー、「獅子神星」イシュタル、「輝ける金星」イナンナが知られる。なお、「萌春」の讃頭句はオスタラの後、「萌春の」エオストレとして引き継がれている。

 ※1 ネイルアート同様、門歯に施す化粧や装飾のこと。起源は古く、元々は王が濃い色で門歯を着彩し、王としての存在を知らしめる権威の象徴として用いられていたとみられている。
 ※2 『プロラグスの月影神話』とは、帝釈天軍に随身していた禹聖王プロラグスが、煩悩の奸計により枯渇し始めていた軍の糧秣を確保するため、「己に兵站の才なし。しからば我らが肉をおさめ給え」と族衆に火の中に飛び込むよう命じ、また自らの身も火に投じて帝釈天軍を飢餓から救おうとしたことから、帝釈天により、その姿を月の中に移し替えられた伝説をいう。
 今でも月にうさぎのように見える影があるのは、あらゆるものが月を見るたびに、プロラグスの捨身慈悲・滅私献身の善行を思い起こさせるためである。その姿は、月の世界の永久に枯れない木(月桂樹)の下、薬師如来の妙薬を作っているものといわれる。
 プロラグスに「伝説の玉兎王」とともに「絶滅の玉兎王」と讃頭句をつけるのは、一族の捨身慈悲を表してのことである。
 ※3 大黒天と大黒天女を引き合わせるため、全身に傷を負いながらも、その使命を全うした「白兎の」イナバの神話。イナバは大黒天の法力により、その傷を回復させている。
 ※4 蓮華炉(金剛弩のためのエネルギー炉)を浮遊・引航させることができるのも、この能力ゆえである。
 ※5 「創成の」ウヌトという名が見られ、このものが初代摩睺羅大将であるとの考えもあるが、伝説性が過ぎ、その実在は確認されていない。

(尊像出典:『薬師瑠璃光如来本願功徳経』)