現代佛師による図像抄 Wii LOVE BUDDHIST IMAGE

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 梵   名 : ラーガ・ラージャ [Rāgarāja रागाराजा]
 ク ラ ス : 両界二量王金剛界最勝王、金剛橛十大忿怒尊
 真   言 : オン マカ ラギャ バゾロ シュウニシャ バザラ サトバ ジャク ウン バン コク
       ウン ジャク ウン タキ ウン シッチ
 種   子 : hoH
 三昧耶形: 天弓(瑜祇)、心矢(愛箭)、三鈷杵、金剛鈴、金剛蓮華、智火金剛拳※1
 御 利 益 : 智慧と方便※2を授ける天弓と心矢を以って、衆生に人を愛する心を教え諭すためのエロス
       邪なものを生む心を滅却して善行へと導き、衆生に善果を成さしめるためのエロス
       煩悩の象徴たる三毒(貪・嗔・痴)を滅して、菩提心を起こさしめるためのエロス
       驕慢の心を鎮めさせ、正しい考えに導くためのエロス
       諍いを生む悪縁を断ち切り、安穏に導くためのエロス
       病苦、天災を取り除き、天寿を全うさせるためのエロス
       貧困や飢餓の苦悩を取り除き、無量の福徳を与えるためのエロス
       心の苦しみを取り除き、安楽に暮らせるようにするためのエロス
       子孫繁栄、家運上昇、一族を守り、幸福をもたらすためのエロス
       前世での悪業を浄化し、信心する者を極楽へと往生させるためのエロス
       良縁※3を結ぶためのエロス
       安産を約束し、その子には福徳と愛嬌、善行を成す力を与えるためのエロス
       これらすなわち愛染王十二大願という。

 明王の一柱。金剛界の至高王(金剛界最勝王)。
 一面六臂、右側本臂にて胸前で三鈷杵を、左側本臂を垂下して金剛鈴を持つ。智火甲冑杵による右側第一義臂と左側第一義臂にて天弓愛箭を構え、右側第二臂は内縛に掲げて金剛蓮華を持つ。左側第二臂は智火金剛拳にて正眼に衝く。「正眼」は「誓願」に通じ、無持物を以て、衆生のあらゆる祈願を叶えるとされる。不動染愛帯を垂下させた紅蓮華壇宝瓶獅子心王座に踏み下げにて鎮坐する

 肉欲即菩提≒愛離金剛、すなわち欲さえも自己の錬成によって昇華させれば、菩提心として立派な徳となることを教え諭す、100%煩悩でできた娑婆の王。
 しかし、それは同時に、天・地・人のうちの「人」である衆生のことを知り尽くしていることを意味し、胎蔵究極王たる不動明王と並び、金剛界の至高王と称される。忿怒(ふんぬ)形ではなく、アルカイク・スマイル(中有をさまよったような半眼、半開きの口元)が煩悩後のイキ顔を想像させ、特に多くの健全男子の帰敬を誘う尊格。

 ※1 智火金剛拳:手甲状の金剛杵。愛染明王の持つ金剛拳は、焔をまとった意匠、赭鋼色であることから、"智火"と呼ばれる。
 ※2 方便:悟りへ近づく方法、あるいは悟りに近づかせる方法のこと。
 ※3 良縁とは、男女間の愛縁のみを意味するのではなく、人と人との良き心の繋がり、体の繋がりを意味する。

(尊像出典:『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』)