現代佛師による図像抄 Wii LOVE BUDDHIST IMAGE

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 ク ラ ス : 唯我独尊
 真   言 : ノウボウ タリツタボリツ バラボリツ シャキンメイ シャキンメイ タラサンダン オエンビ ソワカ
 種   子 : a
 三昧耶形: 金剛斧"リサナウト Risanaut" 双金剛剣"フォガ・フォガブラギ Foga Fogablaigi" 金剛棒"ネジン Nechin" 三鈷杵"カネル Caindel"
       五鈷杵"コルグ・デート Colg-det"
 御 利 益 : 国体護持・国土防衛、家族安寧・家庭円満、心意融通・身体健妙、上は国から下は人まですべての衆生を悪縁災厄より護る程度のご利益

 釈迦如来が誓願により創り上げた仏界最強の化合仏。無比力夜叉の鬼胎に諸仏諸尊の菩提心が重合した姿であるが、それら諸仏諸尊のうち、「中尊」として鬼胎をコントロールできるのは無比力夜叉自身と釈迦如来だけである。ただし、明王化の初期においては、鬼胎を完璧に操れるのは釈迦如来のみであった。
 諸仏諸尊の「あらゆる衆生を護れ」という誓願が集約されているため、仏教史上、大元帥明王は鎮護国家、国敵調伏を祈願する修法の主尊となってきた。
 諸仏諸尊に愛されている、ジャンプ王道漫画の主人公的尊格。

 一面二眼六臂にして穏態忿怒形。六臂のうち本臂たる二臂は女態臂であるが、上臂・下臂は男態臂を形容する※1。右本臂は弥勒菩薩印を結び、左本臂の五峯八柱宝楼閣印※2 にて金剛棒※3 を操揚す。右側上男臂にて三鈷杵を平上し、左側上男臂は五鈷杵を垂揚す。右側下男臂にて双金剛剣を、左側下男臂にて金剛斧を持つ。頭上に擬三眼冠を戴き、魔龍の瓔珞、臂釧、腕釧にて荘厳す。浮揚立位を取る。

 サンスクリットの"आटअवअकअ Āṭavaka アータヴァカ"は「曠野を統べるもの」を意味し、毘沙門天の眷族となる以前から強力な夜叉として存在していたことを表している。
 毘沙門天とは夜叉であったころに三度の敵対的邂逅を交えており、一度目は毘沙門天の負傷時に邂逅。重傷でありながら、なお自らを追い詰める気概を持つ毘沙門天に感応し退却している。二度目は両者初めて万全を以ってぶつかるも決着せず。三度目は夜叉として最大力の鬼哭応現(十八面三十六臂)を果たすも毘沙門天の菩提心に勝てず、滅浄により消滅しかける。が、毘沙門天との交流により生まれていたわずかな菩提心を阿弥陀如来によって認められ、消滅を免れた。アータヴァカの崩壊して行く鬼胎を必死に抱きとめた毘沙門天の徳は、多くの経典で梵讃された。こののち、毘沙門天の眷族時代に毘沙門天により「無比力」と名付けられた。
 さらに毘沙門天の死後、破魔滅邪の力のみを見れば五大力尊をも凌ぎ、明王衆を統帥し得る力を持つゆえ、大日如来により「大元帥(大聖無辺元帥)」の尊名を授記されたとされる。
 また、『阿タ薄倶元帥儀軌』※4 には、釈迦が入寂するとき、阿タ薄倶元帥なるもの、すなわち大元帥明王が天部神、龍族、阿修羅族、八部鬼神、四天王、二十八部衆をも含めた諸仏諸尊諸天の元気玉菩提心を集め、御仏の教えを守り、衆生のさまざまな煩悩を取り除き、安泰ならしめると誓願したとある。

 像容には、六面八臂(第1形態)、十八面三十六臂(第2形態)、ここで描かれる一面六臂(完全体)が存在するが、大元法(大元帥明王靈像秘法)を修するときは、それぞれ毘沙門天(毘沙門天曼荼羅)、虚空蔵菩薩(虚空蔵曼荼羅)、釈迦如来(本身将部曼荼羅)より菩提力の供給を得る。
 歴史上、日本においては二度、大元帥明王が召喚により現界しており、一度目は天慶3年(940)の平将門の反乱時に、二度目は弘安4年(1281)の元寇時に、それぞれの敵軍を壊滅せしめていると記録にある※5

 本尊は否定されているが、ショタ(ロリ)だった過去が知られてる。

※1 夜叉時代は35歳の巨漢ボディビルダーだったという仏説も。
※2 千手観音の印。
※3 珍剛によって作られた、重さ五十六億七千万斤(古代中国の規定から換算して約1264410トン)の宝棒。大元帥明王の意に従い自在に伸縮する。ゆえにか像容では宝棒を持たないものも存在する。最長時は上が仏界の密厳国土から、下は地獄の最下層無間地獄まですべてを貫くという。
※4 「タ」は本来、口編に「乇」を書く。
※5 元寇時は奈良にある松尾寺の千手観音が元船を薙ぎ払ったともされ、諸説ある。
  また、大元帥明王を請来した常暁阿闍梨が、奈良の秋篠寺で召喚修法を行った際に現界したとされるが、このとき常暁は気絶しているため、真偽のほどは定かではない。

(尊像出典:『阿吒薄倶元帥大将上仏陀羅尼経修行儀軌』)