現代佛師による図像抄 Wii LOVE BUDDHIST IMAGE

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儀軌

仏階概観

 梵   名 : クシティ・ガルバ [Kṣitigarbha]
 ク ラ ス : 地蔵十王
 真   言 : ノウマク サンマンダ ボダナン カカカ ソタド ソワカ
 種   子 : ha
 三昧耶形: 如意宝珠、錫杖
 印   契 : 来迎印中品中生(らいごういんちゅうぼんちゅうしょう)
 御 利 益 : 地獄行きの亡者を慰める程度のご利益(追善供養)、菩薩になって張り切る善男善女のための二十八種利益

尊能諸元

 天部神である地獄の王・閻魔が菩提を得て、菩薩へと昇華された姿。※1
 それまでは「地蔵菩薩」のコスプレによって六道を見回っていたに過ぎなかった閻魔王であったが、悟りを得たことにより真の地蔵菩薩となった。まだ菩薩になりたてのため、とりあえずは引き続き地獄で苦しむ亡者を済度する役目を担うが、いずれ釈迦如来の後継たる弥勒如来※2 のダウンロードが完了するまでの56億7000万年間、地蔵菩薩が全衆生※3 を済度することになる。それは後日のお話。
 衆生から親しみを込めて「お地蔵さん」、「お地蔵さま」と呼ばれるのが夢。※4

 九華山に住す。
 肌白桃色にして髪古龍銀娟、容貌破顔嫣然、白毫を戴き、釈迦如来と同じ青眼を持つ。
 右臂にて錫杖を持ち、左臂は来迎印中品中生にて如意宝珠を垂揚す。僧形にて偏袒右肩に袈裟を纏い、瞳と同じ青月光石※5 の嵌められた玉金(うこん:イエローゴールド)の瓔珞にて荘厳する。光背は"地"より出ずる日輪環を背する。

 『閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経』や『地蔵菩薩発心因縁十王経』において、地獄の審問官である閻魔王は地蔵菩薩のコスプレと説かれていると解釈される場合があり、一連の解釈の齟齬は、このような事情による「閻魔王」として転生した存在は、寿命が尽きてのちの直後には輪廻から抜け出すことができないとされるため、いわば破格の存在である。この現象は「地蔵菩薩→閻魔王」が「閻魔王→地蔵菩薩」の因果へと変換されたともいえる。
 ここにおける理解は、閻魔王が菩提を得て真の菩薩に目覚めたのは、「亡者」として地獄に生きるものの苦しみを知る閻魔王であるからこそ、地蔵菩薩としてより深く六道を理解でき、衆生を済度することができると評された、如来による授記というものである。
 閻魔王であったころのことを忘れないようという誓願から、地蔵「王」を名乗り、閻魔王の宝冠を被る。※6
 これにより、地獄における責め苦からの救済を願い、あるいは死者の追善供養として、またあるいは生者自らが自身の死後の済度を願い、信仰されることもある。

 ※1 もはや地蔵菩薩のコスプレとは呼ばせない。
 ※2 如来化する例は様々であるが、弥勒菩薩の場合は、釈迦如来の正統なる後継として下生することにより如来化が完了する。それまでの長年月、現世を守護する御仏が不在となるため、釈迦如来の誓願により、地蔵菩薩が守護する役目を担う。
 ※3 衆生とは、人のみを意味するのではなく、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に在るすべてのものをいう。
 ※4 以前は「閻魔さん」、「閻魔さま」と呼ばれていたので、いずれ遠くない夢と考えられる。
 ※5 閻魔王時は瞳の色も深紅色であり、顔つきも地蔵菩薩のものとは異なっているのが興味深い。
 ※6 被帽地蔵と呼ばれることもある。中国ではこちらの方が一般的。

 (依拠経典:『地蔵菩薩本願経』)