現代イラスト作家による仏図像抄
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@ ヤマモトナオキ@ ヤマモトナオキ@ ヤマモトナオキ

仏階概観

梵   名

チャンダ・マハーローシャナ [Caṇḍamahāroṣaṇa चण्डमहारोषण]

ク ラ ス

胎蔵生最勝王、五大明王中尊

真   言

ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタタラタ センダマカロシャダ ケン ギャキ ギャキ サラバビギナン ウンタラタ カンマン

種   子

hāmmaṃ 【カンマーン】

三昧耶形

三鈷剣倶利伽羅龍王、羂索

御 利 益

悪業は悪報に返り善行は功徳に還るご利益

尊能諸元

胎蔵生の究極王(最勝王)、五大明王の中尊。火生界の中心に坐する。四明王と同盟し、三千大千世界の法を守護する存在。
30日周期、28の日、晡時から人定まで(15時から23時まで)最も人との結縁が強くなり、祈願・請願するならこのとき。

所依経典

『仏説聖不動経』

尊像在所

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* 坐像-南法華寺(奈良県): 平安時代作

@ apt@ apt@ apt

仏階概観

梵   名

ヴァジュラ・クンダリー [Vajrakuṇḍalī वज्रकुंण्डलि]

ク ラ ス

五大明王

真   言

オン キリキリ バザラ ウン ハッタ

種   子

hūṃ 【ウン】

三昧耶形

三鈷杵

御 利 益

自己を邪魔する障碍ならば自身に関わるものも他者もすべて滅刹・摧破するご利益

尊能諸元

五大明王の一尊。火生界は南方を守護する。
「明王」の尊称は火生界にて三昧するときのものであり、平素は胎蔵生に菩薩として参座する。
宝生如来来迎の際は明王となって先陣を担い、寄り来る魔羅(煩悩)の類を摧破する。通例いわれる「軍荼利(明王)」とは、三尊が存在する「軍荼利」の総称であり、胎蔵生の蓮華部院(蓮華部)に座する尊を蓮華軍荼利、金剛手院(金剛部)に座する尊を金剛軍荼利、蘇悉地院(仏部)に座する尊を甘露軍荼利という。明王となって来迎に随従するのは主に金剛である(他二尊が随従しないわけではない)。
一面三眼八臂にして穏態忿怒形、本臂は胸前で大瞋印※1 を結ぶ。右側第二臂にて三昧耶である三鈷杵を掲げ、第三臂にて剣印を結び、第四臂は施無畏印を示す。左側第二臂は金剛輪を、第三臂は三鈷戟を、第四臂は金剛斧持つ。焔柳怒髪の頭上に髑髏冠を戴き、四肢(腕に赤蛇、足首に白蛇)と体幹(首と腰に青蛇)には蛇甲を巻きつけ※2、虎皮の腰鎧をまとう。
金剛蓮華※3 に躍揚す。

注釈

※1 慈悲より生まれる慈悲ゆえの瞋怒を意味する。跋折羅(ばさら)印、羯磨(かつま)印ともいう。親指と小指を合わせた拳印は三鈷杵を表し、蛇神をつかんだ手を形容している。これを跋折羅印という。また、交差させた拳印は十字羯磨を表し、これを羯磨印という。
※2 「軍荼利」すなわち、"kuṇḍalī"とは「円環」や「螺旋」など円相を描くものを意味し、それは蛇で以て具象化されている。蛇は循環性(悪循環・永劫回帰)、永続性(永遠・円運動・死と再生・破壊と創造)、始原性(宇宙の根源)、無限性(不老不死)、完全性(全知全能)など、中立的かつ純粋な力の象徴であるため、善にも悪にも振れることから、これを調伏し、全身に巻きつけている軍荼利明王の姿は「煩悩即菩提」(煩悩には仏性に昇華させうる二面性があるとする概念)を表し、すなわち自己の(力もしくは欲の)制御を意味している。
 また、水瓶(水甕 みずがめ)の丸みを帯びた形が「クンダリン」と形容されていたところに、不死の霊薬である「アムリタ」の入れ物としての水瓶と力の象徴である円相「蛇」が結びつき、"kuṇḍalī"が「水瓶」をも表すようになる。それが仏教においては具体的に「甘露軍荼利」として仏格化され、三部軍荼利の一尊となるのである。
※3 蓮華軍荼利は赤蓮華、甘露軍荼利は白蓮華に乗る。

所依経典

『金剛阿蜜哩多軍荼利菩薩自在神力呪印品』

尊像在所

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* 仏画-教王護国寺(東寺)(京都府): 絹本著色五大尊像、平安後期の作、国宝
* 立像-教王護国寺(東寺)(京都府): 木造五大明王像、講堂安置、国宝
* 仏画-醍醐寺(京都府): 絹本著色五大尊像 、国宝
* 立像-醍醐寺(京都府): 木造五大明王像 、上醍醐五大堂安置、重要文化財
* 立像-醍醐寺(京都府): 木造五大明王像 、霊宝館安置、重要文化財
* 立像-大覚寺(京都府): 重要文化財
* 立像-大覚寺(京都府): 木造五大明王像 、重要文化財
* 立像-不退寺(京都府): 木造五大明王像 、重要文化財

@ 鶴亀@ 鶴亀@ 鶴亀

仏階概観

梵   名

ラーガ・ラージャ [Rāgarāja रागाराजा]

ク ラ ス

金剛界最勝王、金剛橛十大忿怒尊

真   言

オン マカラギャ バゾロシュウニシャ バザラサトバ ジャク ウン バン コク

種   子

hoḥ 【コク】

三昧耶形

天弓(瑜祇)、心矢(愛箭)、三鈷杵、金剛鈴、金剛蓮華、智火金剛拳※1

御 利 益

智慧と方便※2 を授ける天弓と心矢を以って、衆生に人を愛する心を教え諭すためのエロス
邪なものを生む心を滅却して善行へと導き、衆生に善果を成さしめるためのエロス
煩悩の象徴たる三毒(貪・嗔・痴)を滅して、菩提心を起こさしめるためのエロス
驕慢の心を鎮めさせ、正しい考えに導くためのエロス
諍いを生む悪縁を断ち切り、安穏に導くためのエロス
病苦、天災を取り除き、天寿を全うさせるためのエロス
貧困や飢餓の苦悩を取り除き、無量の福徳を与えるためのエロス
心の苦しみを取り除き、安楽に暮らせるようにするためのエロス
子孫繁栄、家運上昇、一族を守り、幸福をもたらすためのエロス
前世での悪業を浄化し、信心する者を極楽へと往生させるためのエロス
良縁※3 を結ぶためのエロス
安産を約束し、その子には福徳と愛嬌、善行を成す力を与えるためのエロス
これらすなわち愛染明王十二大願という。

尊能諸元

金剛界の至高王(金剛界最勝王)。
一面六臂、右側本臂にて胸前で三鈷杵を、左側本臂を垂下して金剛鈴を持つ。智火甲冑杵による右側第一義臂と左側第一義臂にて天弓愛箭を構え、右側第二臂は内縛に掲げて金剛蓮華を持つ。左側第二臂は智火金剛拳にて正眼に衝く。「正眼」は「誓願」に通じ、無持物を以て、衆生のあらゆる祈願を叶えるとされる。不動染愛帯を垂下させた紅蓮華壇宝瓶獅子心王座に踏み下げにて鎮坐する。
肉欲即菩提≒愛離金剛、すなわち欲さえも自己の錬成によって昇華させれば、菩提心として立派な徳となることを教え諭す、100%煩悩でできた娑婆の王。
しかし、それは同時に、天・地・人のうちの「人」である衆生のことを知り尽くしていることを意味し、胎蔵究極王たる不動明王と並び、金剛界の至高王と称される。忿怒(ふんぬ)形ではなく、アルカイク・スマイル(中有をさまよったような半眼、半開きの口元)が煩悩後のイキ顔を想像させ、特に多くの健全男子の帰敬を誘う尊格。

注釈

※1 智火金剛拳:手甲状の金剛杵。愛染明王の持つ金剛拳は、焔をまとった意匠、赭鋼色であることから、"智火"と呼ばれる。
※2 方便:悟りへ近づく方法、あるいは悟りに近づかせる方法のこと。
※3 良縁とは、男女間の愛縁のみを意味するのではなく、人と人との良き心の繋がり、体の繋がりを意味する。

所依経典

『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』

尊像在所

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* 坐像-神童寺(京都府):天弓像
* 坐像-放光寺(山梨県):天弓像としては日本最古、重要文化財

@ 倉瀬あまね@ 倉瀬あまね@ 倉瀬あまね

仏階概観

梵   名

マハーマーユーリー [Mahāmāyūrī महामायूरी]

ク ラ ス

五大明妃(パーンチャ・ラクシャー)

真   言

オン マユラ ギランデイ ソワカ

種   子

ma 【マ】

三昧耶形

孔雀尾扇羯磨金剛、倶縁果、吉祥果、開敷蓮華

御 利 益

一切の病魔災厄を退ける御利益、水に困らない御利益、家内を安堵する御利益

尊能諸元

五大明妃の一尊。明王中、唯一の菩薩形、真性の女尊格。
煩悩の象徴たる三毒(貪・嗔・痴)を滅して仏道に成就せしめることを至上とする。

所依経典

『仏母大孔雀明王経』

尊像在所

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* 仏画-仁和寺(京都府):北宋時代作、国宝
* 仏画-醍醐寺(京都府):重要文化財
* 仏画-智積院(京都府):重要文化財
* 坐像-正暦寺(奈良県):鎌倉時代作
* 仏画-法隆寺(奈良県):重要文化財