現代佛師による図像抄 Wii LOVE BUDDHIST IMAGE

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儀軌

仏階概観

 梵   名 : マハーカーラ [Mahākāla महाकालः]
 ク ラ ス : 三面大黒天
 真   言 : 大黒天真言、毘沙門天真言、弁才天真言の3種※1
 種   子 :ma
 三昧耶形: 摩尼宝槌、摩尼宝袋、摩尼宝戟、摩尼宝棒、摩尼宝剣、摩尼宝珠
 御 利 益 :いかなる勝利・福徳・飲食(おんじき)をも3倍にして扶持する御利益、食厨における絶対防御

尊能諸元

 比叡山の大黒天が、鞍馬山の毘沙門天、竹生島の弁才天を召喚し、三位合一した姿。これら三天の合一尊は日本由来のもの。

 元は伝教大師最澄が感得した尊格。
 最澄が唐で遭遇したのは、一面二臂、皮鎧を着込み、右手に宝棒(メイス)、左手に金嚢(クラブ)を携えた大黒天であり、まさにこの大黒天が比叡の地に現れる。
 大黒天が「この山に棲まう貴様の弟子1,000人を扶持してやろう」と言うのに対し、厚かましくも最澄は3,000人の扶持を乞う。しばし考える大黒天であったが、気合の一声とともに変身を遂げた。その姿は三面六臂、剣を握り、青黒い半裸に忿怒に満ちた恐ろしい形相の巨大なものであった。最澄は経典でしか知らなかったが、天竺由来の大黒天の姿である。大黒天は「この大黒天は変身をするたびに功徳がはるかに増す…その変身をあと2回も儂は残している…その意味がわかるかな?」と最澄に問うと、3,000人を扶持することを約し、忽然と消えた。※2

 次に感得したのは豊臣秀吉である。
 本能寺で織田信長を弑した明智光秀を討つため京都に向かった秀吉は途中の川で、最澄の前で変身した三面六臂の大黒天と遭遇する。秀吉を扶持してやろうという大黒天であったが、不遜にも秀吉は「貴神はたった千人を恵む神と聞く。大事な門出に貴神ごときの福徳では足りぬ」と、のたまう。大黒天は秀吉をひとひねりにする勢いの忿怒相であったが、印を組み、真言を唱え始める。組んだ印を解き、両腕を開いたその手に吸い寄せられるように現れたのが、鞍馬山の毘沙門天と竹生島の弁才天であった。
 これが豊臣秀吉が帰敬し、世によく知られる三面大黒天の姿である。

※1 各真言については各尊像の項を参照。
※2 大黒天の宝具のひとつに白象の皮衣があり、光学迷彩の機能を備えている。ゆえに最澄には大黒天が忽然と消えたように見えたのかもしれない。